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植生の区分と概況

植生の区分と概況

植生区分の考え方

本調査の対象となった調査箇所は、1箇所(清瀧神社・大蓮寺・宝城院)を除いて全て都市公園で、植生の主体(優占種)は、植栽起源の植物種が多くを占め、現況で人為的な植生管理下におかれています。このような緑地の樹林は、同じ樹高の一般の樹林群落に比べ、階層構造構成種組成 が著しく未発達です。本調査の植生区分において、こうした構造、組成の点で著しく未発達な樹林は、「植栽地」という名称を用いました。これに対し、ある程度の階層構造組成の発達がみられる植生区分は「群落」の名称を用いました。


植生の概況

現地調査により、調査箇所ごとの植生を表-2に示した23の植生群落、土地利用区分などを含む)に区分しました。各植生区分の特徴と確認箇所は表のとおりです。

注目すべき樹林群落としては、元町の大蓮寺(M-1)で確認したタブノキ群落とモウソウチク群落があります。タブノキ群落はごく小規模なものですが、かつて市域周辺に広がっていたイノデ-タブノキ群集の希少な残存植分であると考えられます。モウソウチク群落植栽起源であるが、樹林群落としての構造と組成を持つこと、竹類を生活に利用していた頃の生活文化を伝える植分であることなどから、市域では貴重な植分といえます。

タブノキ群落と、先駆性低木群落以外の樹林はすべて植栽起源ですが、起源の古いケヤキ群落は注目に値します。また、多様な在来の常緑樹で構成され、まとまった面積を持つ常緑広葉樹亜高木群落は、管理の在り方によっては、やがて、かつてのイノデ-タブノキ群集や、沿岸域の防風林に似た環境を提供する可能性のある植分です。

先駆性低木群落遷移の一過程としてみられるもので、放置すればいずれ常緑樹林へと発達するものですが、造成中の公園緑地内でのみ確認しました。この植分は、発達を待たずに改変される可能性が高いと考えられます。

樹木植栽地では、沿岸の防風林を思わせるクロマツや、春の行楽に欠かせないサクラ類の植栽地が最も多くなっていいます。そのほかにも多様な樹木の植栽地を確認しました。これらの植栽地は視覚的に市域の緑被率を増大させる効果がありますが、構造、組成の点で単調で、自然環境としての評価は群落類に比べて低くなります。

草本植生は大半がシバ群落であり、それ以外の植生の立地は限られていました。

ヒメガマ群落と水田雑草群落は、農村の景観を構成する重要な要素です。本調査においての確認は明海の丘公園(S-3)のビオトープに立地するごく小規模な植生区分に限られています。面積が狭小なこと、造成後まもなく、同様の立地から隔離されているため本来の構成種の侵入に至っていないことなどから、組成的には充分に評価できませんが、適正な植生管理により、より豊かな植物相を支える潜在力を持つと期待されます。

植生の概況

  • 浦安市の緑のほとんどは、人為的に整備されたものです。
  • 神社やお寺には、起源の古い大きな木や林がみられます。
  • 墓地公園や高洲海浜公園などでは、成長すれば昔広がっていたタブノキ林のようになることが期待できる林があります。

表-1 調査箇所一覧
地区名 記号 地点名
元町 M-1 静龍神社・大蓮寺・宝城院
M-2 市役所周辺
M-3 しおかぜ緑道
中野 N-1 中央公園
N-2 若潮公園・交通公園
N-3 美浜公園・美浜運動公園
新町 S-1 墓地公園
S-2 高洲海浜公園
S-3 明海の丘公園

表-2 植生区分一覧
番号 植生区分/解説/確認地点 景観
1

タブノキ群落

タブノキの優占する高木林。本調査において確認した唯一の植栽起源でない高木林と考えられる。アオキ、シュロ、ヒサカキといった鳥散布型の樹種被度が高いなど、都市型樹林の特徴はみられるものの、構造、組成とも市域で最も樹林らしい植生区分である。
確認地点:M-1
2

モウソウチク群落

モウソウチクの高木林。かつて生活資材を得るために植栽されたものと考えられる。現在では植生管理されている様子はほとんどなく、構造的にはやや荒廃しているが、樹林としての構造と組成を有する数少ない群落である。
確認地点:M-1
3

クスノキ群落

クスノキを優占種とする高木林。植栽起源ではあるが、樹高は高い。植栽樹種からなる低木層もある程度発達がみられる。
確認地点:M-2
4

落葉広葉樹高群落

ケヤキが優占する場合が多いが、ほかにユリノキ、スズカケノキの仲間、ハリエンジュなどさまざまな植栽の落葉樹を混生する高木林。植栽されてからの期間が長く、林高が高い。また、構成種の多くは植栽樹種ではあるものの、階層構造の発達もある程度認められる。
確認地点:M-2,N-2
5

ケヤキ群落

ケヤキの巨木が優占する高木林。神社の境内など歴史のある立地にみられる。よく植生管理されているため、階層や組成の点ではほとんど評価できないが、高木層を構成するケヤキは古く、充分な樹高と堂々たる風格を持つ。イチョウを混生する場合が多い。
確認地点:M-1
6

常緑樹亜高木群落

マテバシイやクロマツの優占する植栽起源の亜高木林優占種のほかに、スダジイ、シラカシ、タブノキ、ヤマモモ、ウバメガシなど、多様な常緑樹が混植されている。階層構造はあまり発達していないが、構成樹種は多岐にわたり、本来の植生に近い組成である。
確認地点:N-1,N-2,N-3,S-1
7

植栽低木群落

常緑樹を主体に、高木となる樹種を密植した低木林。成長の早いサクラ類やアキニレなどの落葉樹にやや遅れて、タブノキ、マテバシイ、モチノキ、スダジイ、ヤマモモ、カクレミノなどの常緑樹が生育する。発達して常緑樹亜高木群落に移行していくと考えられる。
確認地点:S-2
8

先駆性低木群落

草地を放置した結果として自然に成立する、先駆性の木本 (クロマツ、ナワシログミなど)が優占する低木群落群落高は高くないが、植栽地よりも組成的に発達している。
確認地点:S-1
9

クロマツ植栽

クロマツを植栽した低木~亜高木林。普通、低木(または亜高木)層と草本層の2階層からなり、クロマツの優占度が高い。一般の植栽地より草本層植被率が高く、組成的にも比較的発達している場合が多い。
確認地点:M-3,N-1,N-2,N-3
10

サクラ植栽

おもにソメイヨシノを植栽した亜高木林。サクラ類の優占度が高い。林床は人間活動による干渉(おもに行楽)が多いため、階層構造が認められず、踏み固められて植被率も低い場合が多い。
確認地点:M-3,N-1,N-2,N-3
11

その他の樹木植栽

植栽樹種(クロマツ、サクラ類以外)の優占する低木~亜高木林優占種はアケボノスギ、マテバシイ、クスノキ、アメリカデイゴ、ヤシ類、ヒノキ、カイヅカイブキ、トウネズミモチなど多岐にわたる。明確な優占種のない場合もある。ある程度の樹高を有する場合もあるが、組成は単純で、階層構造の発達もみられない。
確認地点:M-1,M-2,M-3,N-1,N-2,N-3,S-3
12

疎らな樹木植栽

芝地に疎ら(植被率:5~10%)に樹木が植栽された樹木植栽地。広い公園にみられる。組成的にはシバ群落にわずかな植栽樹種が加わった程度であるが、公園緑地らしい景観を創出する。
確認地点:M-2,S-2,S-3
13

植え込み植栽地(大型)

高さ0.8~1.5m程度の灌木が密に植栽された植え込み。優占種はオオムラサキが多いが、ほかに、サツキ、イヌツゲ、ウバメガシ、レンギョウ、ニシキウツギなどがある。灌木の密度が高いため、草本層植被率は高くない。
確認地点:M-2,N-1,N-2,N-3,S-3
14

サツキ植栽

高さ0.3~0.5m程度の灌木が植栽された植え込み。優占種はサツキであるが、ほかにマメイヌツゲなどを混生する場合がある。サツキが疎らな場合は草本層にシバなどを伴う。
確認地点:M-2,M-3,N-2,S-1,S-2
15

ヒメガマ群落

ビオトープの水辺に植栽されたヒメガマの優占する高茎の抽水植物群落 。本来は休耕田やため池の淵など農村の水辺に成立する場合が多い。
確認地点:S-3
16

高茎多年草群落

丈の高い(1~2m程度)多年草群落優占種はクズ、セイタカアワダチソウ、ススキ、ヨシなどで、造成後、しばらく放置された土地などにみられる。
確認地点:M-2,S-1
17

低茎多年草群落

丈の低い(0.1~0.5m程度)多年草群落で、チガヤ群落、コヌカグサ群落、オオバコ群落などを含む。チガヤ群落は年2回程度の刈り取りといった緩やかな植生管理下、日当たりのいい草地に成立する。コヌカグサはレッドトップなどの名で植栽された草地である。オオバコ群落は踏みつけの多い立地に成立する。
確認地点:M-1,M-3,N-1,S-1
18

水田雑草群落

ビオトープに作られた水田耕作地の水生植物群落。本来水田には栽培種のイネのほかに、小型の湿生一年草が水田雑草としてみられるが、組成的に水田雑草らしい種はあまりみられない。
確認地点:S-3
19

ケナフ植栽

紙の材料となるケナフを実験的に栽培する耕作地。植被率は低く、小型の一年草を雑草として伴う。栽培種のケナフ以外は一般的な畑作地の組成を持つ。
確認地点:S-2
20

シバ群落

植栽のシバが優占する植被率の高い低茎草本群落。シロツメクサ、セイヨウタンポポ、ハルジオンといった外来種を伴う場合が多い。
確認地点:M-2,N-1,N-2,N-3,S-1,S-2,S-3
21

花壇など

パンジー、マリーゴールド、サルビア類など観賞用の花卉類を栽培する花壇。植被率は低く、一般的な畑地に生育する小型の一年草を雑草として伴う場合が多い。
確認地点:N-1,N-2,N-3
22

人工裸地・建物・舗装面

建物、舗装面など地面を覆う構造物のある立地や、植被のほとんどみられない更地など。
確認地点:全地点

-

23

水域

庭園の池や人工の水路など。
確認地点:M-1,M-2,M-3

-

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