元町地域は、埋め立てによって市域が拡大する前からあった町で、昔ながらの面影が残る地域です。
神社やお寺などがあるため、周囲に林が残っており、これら社寺林や緑道が生き物の住処となっています。
調査は3地点で行いました
三番瀬は、浦安市、市川市、船橋市、習志野市の4市に面した約1800ヘクタールの干潟と浅い海です。平成13年に千葉県が埋め立て計画を白紙撤回したことで、海域として残ることになりました。
貝類やカニが生息するほか、シギ、チドリなどの多くの渡り鳥の中継地として貴重な役割を果たしています。
調査は2地点で行いました。
中町地域は昭和40年に着工した海面埋立事業により新しく誕生した地域です。
この地区の生き物の住処は、主に公園です。埋め立て当初から計画的なまちづくりが行われ、住宅や公園や小中学校、商業施設の整備も進みました。
調査は3地点で行いました。
新町地域は、昭和47年から着工された第2期埋立事業で新たに造成されました。
高層、超高層住宅群があり、大学もあります。墓地公園をはじめとして、公園や緑地も十分に確保されています。これらの公園が生き物の住処となっています。
調査は3地点で行いました。
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市街化の著しい浦安市のなかで、唯一かつての樹林の面影を残している場所です。ここにはタブノキ群落や、多くの大径木があり、他の調査箇所ではみられなかった樹林性の植物(クマワラビやヒメイタビ、アケビ、サンショウなど)や樹洞性の昆虫(ニホンミツバチ、クロクサアリ)が確認されました。鳥類では確認種数は少なかったものの、ケヤキ群落を中心に、森林性のシジュウカラ、森林周辺性のヒヨドリ、人家周辺性のスズメやムクドリなどを確認し、メジロやキジバト、カワラヒワなどが時折飛来していました。
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人工裸地を除いた主要な植生は、シバ群落やマテバシイ群落、クロマツ、サクラ類などの樹木植栽地でした。植被率が高く、本来の樹林に近い種で構成されるマテバシイ群落がまとまった面積でみられました。
昆虫では、クロアゲハなどの樹林性種や林縁でみられる種を確認しました。公園内の草地やその周辺の裸地では、草地性のショウリョウバッタや、裸地を好むイボバッタなどを確認しました。
鳥類は、ヒヨドリやドバト、スズメなど、都市に多い種が多かったのですが、まとまった面積のマテバシイ群落(常緑樹亜高木群落)では、コゲラやメジロ、アカハラ、シロハラ、モズなどといった森林性から森林周辺性の種を比較的多く確認しました。
人工裸地などを除く主要な植生区分は、シバ群落、常緑樹亜高木群落、落葉広葉樹高木群落でした。樹林は全体に幅が狭く、さまざまな植生区分がモザイク状に入り組み、ひとつひとつの植生区分のまとまりを欠いています。しかし、多様な植生区分が存在することで植物は多くの種類を確認しました。
昆虫では、オンブバッタなどの草地性種を多く確認し、そのほか少ないながら公園内の樹木からはコガタスズメバチなどの樹林性種もみられました。
鳥類では、落葉広葉樹がまとまって植栽されているため、シジュウカラやヒヨドリなどの確認頻度が比較的高く、時折、メジロやキジバト、カワラヒワ、オナガなどが飛来しました。また、シバ群落にはハクセキレイ、近接する境川からはカワウやユリカモメ、ハクセキレイなどといった水辺性の種が、時折飛来していました。
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主要な植生は、クロマツやマテバシイの優占する常緑樹亜高木群落であり、草原性動物の生息環境として重要と考えられます。
本地点では、最も多くの昆虫類を確認しました。なかでも草地性種が多く、ヒメアカタテハなどが確認されました。このほか、公園内の樹木からヒメアカホシテントウなどの樹林性種も確認しました。
鳥類は、年間通してヒヨドリを高い頻度で確認し、冬季にはキジバトやツグミ、アオジ、夏季にはヒバリやオオヨシキリ、ツバメ、秋季にはシジュウカラ やモズ、ヒバリを確認しました。これらの鳥類は、クロマツ林やこれに囲まれた草地を利用していました。また、近接する三番瀬からはカワウやセグロカモメな ど水辺性種が飛来し、オオタカやノスリ、チョウゲンボウといった猛禽類も確認しました。
主要な植生は、シバ群落、疎らな樹木植栽地、植栽低木群落などが確認されました。まばらな樹木植栽地の樹木は、海風に曝されて生育状態が不良なものが目立ち、面積の半分以上を占めるシバ群落との境界はあいまいでした。一方、在来の樹種を密植した植栽低木群落は、発達して墓地公園にみられるような常緑樹亜高木群落へと発達することが期待されます。シバ群落及び疎らな樹木植栽地における植物相は極めて貧困で、本地点の植物相の大半は植栽低木群落内で確認したものでした。
昆虫相の大部分はトノサマバッタなどの草地性種が主体ですが、シロテンハナムグリなどの樹林性種も確認しました。
鳥類では、樹木が少ないため森林性や森林周辺性の 確認種数は比較的少なく、確認頻度が高い種はドバトやスズメでしたが、冬季にはツグミやヒバリ、春季にはヒバリ、夏季にはツバメ、秋季にはヒヨドリやモズ を多く確認しました。特に秋には、数羽から40羽ほどのヒヨドリの群れが公園上空を渡りのために通過していくのが見られました。また、公園の南側は東京湾 に隣接しており、冬季にオオバン、春季にハジロカイツブリやヒドリガモ、スズガモ、オオバンなど水辺性の種を多く確認しました。
主要な植生区分は、シバ群落、疎らな樹木植栽地、そのほかの樹木植栽地などを確認しました。大半がシバ群落と疎らな樹木植栽地で占められるため、植生、植物相ともに単純ですが、ビオトープとして整備された湿地では市内のほかの地域ではみられない水生~湿生の植物を確認しました。
昆虫では、ウスバキトンボなどオープンランドを生息場所とする種のほか、エンマコオロギなどの草地性種を多く確認しました。植栽樹からはアブラゼミなどの樹林性種、水田からはアオモンイトトンボなどの水生昆虫類もみつかっています。
鳥類は、スズメが多くみられましたが、公園内は鳥類が好む環境が少ないため、確認種数は少ない結果となりました。しかし、ビオトープとして整備され た湿地の周囲では、年間を通してハクセキレイ、夏季にツバメが多く飛来し、春季にはモズを確認しました。また、冬季にツグミが上空を通過し、夏季にはカワ ウやカルガモ、秋季にカケスが飛来しました。
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三番瀬の調査は鳥類とベントス調査を行いました。鳥類調査では左図の範囲全域を、ベントス調査では、猫実川河口と日の出地先付近の2箇所で行いました。
冬季を中心に、水面では常にスズガモを優占種としたカモ類の群が数千羽飛来するほか、カイツブリ類やカモメ類、カワウ、オオバンも確認しました。夏季には150羽ほどのコアジサシの群れが採餌や休息の場として利用していました。冬から春季調査でシギ・チドリ類は、イソシギしか確認されませんでした。これは、冬季調査時の干満の差が小さく大きな干潟が出なかったこと、春季は人的影響を受けたためと考えられます。しかし、夏、秋季には出現する干潟の面積も広がり、キョウジョシギやキアシシギ、チュウシャクシギなどを確認しました。