離婚後の子の養育に関するルールが新しくなりました
ページID K1048139 更新日 令和8年3月27日 印刷
令和6年5月17日に、「民法等の一部を改正する法律」が成立しました。
今回の改正では、父母の離婚などに直面する子の利益を確保するため、子の養育に関する父母の責務を明確化しました。また、親権、養育費、親子交流などに関するルールを見直しています。
この法律は、令和8年4月1日に施行されます。
親の責務に関するルールの明確化
今回の改正では、父母が親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもを養育する責務を負うことなどが明確化されています。
こどもの人格の尊重
父母は、こどもが心も体も元気でいられるように育てる責任があります。
こどもの利益のため、意見をよく聞き、こどもの人格を尊重しなければなりません。
こどもの扶養
父母は、親権や婚姻関係の有無に関わらず、こどもが親と同じぐらいの生活を送れるように扶養しなければならない義務を負います。
父母間の人格尊重・協力義務
父母は、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもの利益のため、お互いに相手の人格を尊重し、協力する義務を負います。
次のような行為は、人格尊重や協力義務に違反する場合があります。
- 暴力や相手を怖がらせるような言動やひぼう中傷
- 別居親が、同居親に不当に干渉すること
- 特段の理由なく他方に無断でこどもを転居させること
- 特段の理由なく約束した親子の交流を拒むこと
注記:暴力や虐待から逃れる場合は、この義務に違反しません
こどもの利益のための親権行使
親権者は、こどもの世話や財産の管理などについて、こどもの利益のために責任を果たさなければなりません。
親権に関するルールの見直し
父母の離婚後の親権者について、父母の一方が親権を持つ単独親権のほかに、離婚後に父母2人ともが親権を持つ共同親権の選択ができるようになります。
親権者の定め方
協議離婚の場合
父母が協議により、親権者を父母双方とするか、その一方とするかを定めます。
父母の協議がまとまらない場合や裁判離婚の場合
家庭裁判所が父母とこどもとの関係や、父と母との関係などの事情を考慮し、こどもの利益の観点から、親権者を父母双方とするか、その一方とするかを定めます。
この裁判手続では、家庭裁判所は父母それぞれから意見を聴かなければならず、こどもの意思を把握するよう努めなければなりません。
ただし次のような場合、家庭裁判所は必ず単独親権の定めをすることとされています。
- 虐待のおそれがあると認められるとき
- DVのおそれやその他の事情により父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるとき
注記:殴る・蹴るなどの身体的な暴力を伴う虐待・DVに限定されません。また、これらの場合以外にも、共同親権と定めることで、こどもの利益を害すると認められるときは、裁判所は必ず単独親権の定めをすることとされています
親権の行使方法(父母双方が親権者である場合)
父母双方が親権者である場合の親権の行使方法のルールが明確化されています。
(1)親権は、父母が共同して行います。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他方が行います。
(2)次のような場合は、親権の単独行使ができます。
- 監護教育に関する日常の行為をするとき
- こどもの利益のため急迫の事情があるとき
(3)特定の事項について、家庭裁判所の手続で親権行使者を定めることができます。
注記:改正前は、(1)のみが規定されており、(2)と(3)については規定がありませんでした
監護教育に関する日常の行為
監護教育に関する日常の行為とは、日々の生活の中で生じる監護教育に関する行為で、こどもに重大な影響を与えないものをいいます。個別具体的な事情によりますが、例えば、日常の行為に当たる例、当たらない例としては、次のような場合があります。
日常行為の該当有無
-
日常の行為に当たる例(単独行使可)
- 食事や服装の決定
- 短期間の観光目的での旅行
- 心身に重大な影響を与えない医療行為の決定
- 通常のワクチンの接種
- 習い事
- 高校生の放課後のアルバイトの許可
- 日常の行為に当たらない例(共同行使)
- こどもの転居
- 進路に影響する進学先の決定(高校に進学せずに就職するなどの判断を含む)
- 心身に重大な影響を与える医療行為の決定
- 財産の管理(預金口座の開設など)
こどもの利益のため急迫の事情があるとき
急迫の事情とは、父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては親権の行使が間に合わず、こどもの利益を害するおそれがある場合をいいます。
急迫の事情があるときは、日常の行為にあたらないものについても、父母の一方が単独で親権を行うことができます。
個別具体的な事情によりますが、例えば、急迫の事情の例としては、次のような場合があります。
- DVや虐待からの避難をする必要がある場合
- こどもに緊急の医療行為を受けさせる必要がある場合
- 入学試験の結果発表後に入学手続の期限が迫っているような場合
養育費の支払確保に向けた見直し
養育費を確実に、しっかりと受け取れるように、新たなルールの創設やこれまでのルールの見直しが行われました。
取り決めの実効性向上
文書で養育費の取り決めをしていれば、支払いが滞った場合にその文書をもって、一方の親の財産を差し押さえるための申立てができるようになります。
法定養育費の新設
これまでは、父母の協議や家庭裁判所の手続により養育費の額を取り決めなければ、養育費を請求することができませんでした。
今回の改正により、改正法の施行後に離婚した場合には、養育費を取り決めるまでの間、こどもと暮らす親が他方の親へ、こども一人当たり月額2万円の養育費(法定養育費)を請求できるようになります。
法定養育費は、こどもの生活が守られるため養育費が決まるまでの暫定的、補充的なものとして設けられたものであり、養育費の標準額や下限額を定める趣旨のものではありません。
裁判手続の利便性向上
家庭裁判所は、養育費に関する裁判手続きをスムーズに進めるために、収入情報の開示を命じることができることとしています。
また、養育費を請求する民事執行の手続きでは、地方裁判所に対する1回の申し立てで財産の開示、給与情報の提供、判明した給与の差し押さえに関する手続きを行うことができるようになります。
安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し
こどもの利益を最優先に考えることを前提に、親子交流や父母以外の親族との交流に関するルールが見直されました。
親子交流の試行的実施
家庭裁判所の手続き中に親子交流を試行的に行うことができます。家庭裁判所は、実施が適切かどうかや調査が必要かなどを検討して実施を促します。
婚姻中別居の場合の親子交流
父母が婚姻中にこどもと別居している場合の親子交流については、父母の協議で決め、決まらない時は家庭裁判所の審判などで決めることとなります。
父母以外の親族とこどもの交流
こどもと祖父母などとの間に親子のような親しい関係があり、こどものために特に必要がある場合、家庭裁判所はこどもと父母以外の親族との交流を定められるようになります。
財産分与に関するルールの見直し
財産分与は、夫婦が婚姻中に共に築いた財産を、離婚の際にそれぞれ分け合う制度です。
今回の改正により、次のとおりルールが見直されます。
- 財産分与の請求期間が2年から5年に伸長されます。
- 財産分与において、婚姻期間や婚姻中の生活水準など考慮すべき要素が明確化されています。
- 財産分与に関する裁判手続の利便性が向上します。
養子縁組に関するルールの見直し
養子縁組がされた後に、誰が親権者になるかが明確化されます。
養子縁組についての父母の意見対立を調整する裁判手続が新設されます。
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